
申込金とは、不動産取引において購入意思を示すために支払われる金銭です。
しかし、申込金の法的効力や返金の扱いについては、誤解されやすい点も少なくありません。
本記事では、申込金の意味や相場、トラブル回避のポイントまで整理します。
目次
1、申込金とは
「申込金」とは、主に不動産の売買契約において、売主に対して購入の意思を示すために、買主(購入希望者)が、購入希望の書面(申込書)と同時に渡す金銭をいいます。
(以下は、買主が全て同じ意味で渡した金銭として解説を進めます)
会社や地域、人により「申込証拠金、証拠金、予約金、仮押さえ金」など、呼び方(名称)は様々です。
(本ページでは、上記の意味で渡した金銭をまとめて「申込金」として解説を進めます)
業界用語(隠語)で、申込金のことを「つばづけ」という者もいます。
(あくまで業界の一部で使われている言葉)
また、賃貸借契約においても、申込金が発生する場合があります。
(主に事業用物件や、条件が特殊なケースなど)

🔎重要ポイント①
上記の理由で渡した金銭は、呼び方(名称)にかかわらず、原則として「申込金」として取り扱われます。
✅この点は、誤解されやすいので注意が必要です!
✅「契約金」という、重みがありそうな言葉が使われる事もあります。
2、申込金の役割
申込金は、その物件を第三者から確保(予約)する役割、いわゆる「仮押さえ」の意味合いがあります。
また、売主の立場から見ると、申込金にはもう一つの意味(側面)があります。
それは、買主の購入意思の本気度(強さ)を、その金銭で判断するための目安としての役割です。
申込みがあった物件について売主は、他の検討者の対応を控えることもあるため、安易な申込みやキャンセルを防ぐ目的が含まれている場合があります。

🔎重要ポイント②
✅買主の立場:購入意思を示して、仮押さえするための金銭。
✅売主の立場:買主の、購入意思の強さを判断するための金銭。
2-2、申込金の役割(補足)
購入意思の強さを判断しなければならない理由の一つを補足しておきます。
賃貸借契約の場合は、一般的に申込みの先後(いわゆる早い者順)で進むことが多いです。
もっとも、保証会社の審査スピードなどによって結果が左右される場合もあります。
※売主側や仲介会社の方針によっては、申込の取り扱いが一律ではない場合もあります。
一方、売買契約は必ずしも先着順ではありません。
売主は、価格だけでなく、資金計画や購入の確実性などを総合的に見て判断します。
そのため、申込金は「本気度」を示す一つの要素として扱われることがあります。
3、申込金の法的効力
申込金は、法律でその性質や効果が明確に定められているものではありません。
そのため、申込金を受け取ったからといって、売主が必ず優先して物件を確保しなければならない、という法的な義務が当然に発生するわけではありません。
不動産業界のならわし(慣行)として扱われているものです。
ただし、申込金の取り扱いや優先交渉について、具体的な内容を定めた書面を取り交わしている場合には、その内容は尊重されるケースが多く見られます。
しかし、申込金をめぐるトラブルが少なくないのも事実です。
3-2、📌申込金トラブル回避のために📌
申込金を渡す場合には、その金銭を払う意味は何か?どんな効力があるのか?について、しっかりと書面で確認しておくことが重要です。
【書面の一例】
「申込金を受領した本日から〇年〇月〇日までの期間、売主は第三者と本物件についての売買交渉、申込みの受領および契約締結を行わないものとします」
このように、期間や内容が具体的に定められている場合には、優先交渉の範囲が明確です。
✅単に「優先します」など、表現があいまいな場合には注意が必要です。
(優先しますのみでは、どこまで優先されるのか不明)
✅書面のどこかに「拘束力はないものとする」等の文言が含まれていないか、あわせてしっかり確認しましょう。
4、申込金と手付金

様々な見解(解釈)がありますが、「申込金」と「手付金」は、意味も法的な位置づけも異なる金銭です。
ちなみに、この二つを比較した解説を目にする事が多いです。
では、なぜこの比較の話が多いのか、その背景について少し踏み込んで解説します。
基本的に、申込金は売主の立場から見ると、売買契約が成立するまでは「単なる預かっている金銭(預り金)」という位置づけです。
一方で、購入意思の強さを判断する場面では、単なる預り金という認識では、どこまで本気なのか判断しづらいケースがあるのも事実です。
このような背景から、取引の説明が十分に行われない場合には、申込金と手付金の違いがあいまいなまま進んでしまうことがあります。
結果として、申込金が「より強い意思表示」として受け取られてしまうことがあります。

🏢エルニカの取り組み
当社では、申込金や手付金など、誤解が発生しやすい金銭については、お客さまが十分に理解し、納得されたうえで進められるよう、丁寧にご説明することを大切にしています。
5、申込金の相場
申込金の金額についても、法律上の定めはありません。
一般的には、数万円から10万円程度とされることが多いです。
売買代金に対して1%前後を目安とするケースも見られます。
(いずれもあくまで目安です)
ただし、金額や取扱いは案件ごとに異なるため、一般的な相場と比べて高額な申込金を求められた場合には、その趣旨(何故なのかという理由)や返還の条件を事前に確認することが重要です。
5-2、📌相場トラブルを防ぐために📌
一般的な相場と比べて高額な場合には注意が必要です。
少しでも違和感があれば、以下を必ず確認しましょう。
(口頭だけではなく、書面も必ず確認すること)
- 何のための金銭なのか?
- 返還されるのかどうか?
- 手付金と混同されていないか?
納得できない場合や、急がされるような状況では、無理に支払う必要はありません。
6、申込みが撤回された場合
「申込みの撤回」とは、買主が申込みをキャンセルした場合を指します。
申込みがキャンセルとなった場合、申込金は原則として全額返還されるべき金銭です。
申込金は、売買契約の成立前に一時的に預けている金銭であり、手付金や違約金とは性質が異なります。
そのため売主側は、「事務手数料がかかったから・・」「諸費用が発生したから・・」といった理由で、金銭を差し引いて返還することは、原則として認められません。
これは、買主の都合によるキャンセルであっても、基本的な考え方は同様です。
6-2、📌トラブル時の対処方法📌
宅建業者が関与する取引においては、申込金を含む「預り金」について、原則として全額返還されるべきものとされています。
この点は、宅建業法の趣旨や裁判事例からも明らかであり、実務上も返還について大きな争いになりにくいケースが多いといえます。
つまり、不動産協会や行政窓口で「相談しやすいトラブルである」という事を知っておいてください。
(それを知っておくだけでも違います)
具体的な対応策は、書面の内容や取引の状況によって異なるので、ここで一概に断定はできません。
不安を感じた場合は、必ず書面・領収書・契約内容を確認しましょう。
そのうえで、少しでも疑問がある場合は、第三者の公的相談窓口に相談することも大切です。
以下は、申込金によるトラブルの相談窓口(東京)です。
(状況に応じて、無理のない形でご活用ください)
・東京都 住宅政策本部の相談窓口のページ(公式)
・公益社団法人 東京都宅地建物取引業協会(公式)
「〇〇県 不動産 相談窓口」
「〇〇県 宅建協会 相談」
↑クリックして、お住いの地域だけ変えてください。
7、申込金のまとめ
申込金は、すべての不動産取引で必ず発生するものではありません。
実務上は、新築分譲マンションのモデルルームでの申込みや事業用物件など、申込みが重なりやすい場面で求められることが多い金銭です。
ただし、申込金を支払ったからといって、物件が必ず確保されるわけではなく、また、住宅ローンの審査が保証されるものでもありません。
そのため、申込金を求められた場合には、金額の妥当性だけでなく、返還条件や手付金との違い、契約に進まなかった場合の取扱いについて、事前に書面で確認することが大切です。
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